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会話型AIの設計:より人間らしいユーザー体験を作る方法

執筆者
Jack Limebear
公開日
最終更新日

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会話型AIデザインは、以前は決定木を作ることを意味していました。初期のチャットボットやIVRメニューは、厳格に事前定義された分岐に基づいて動作していました。請求については1を押す、「はい」か「いいえ」と答える、そして顧客の質問が想定した選択肢のいずれかに当てはまることを願う、といったものです。このモデルが機能するのは、会話があらかじめ構築した範囲に収まっている場合だけでした。

AIエージェントはこの制約を取り除きました。会話をリアルタイムで推論し、ナレッジベースを参照し、ツールを呼び出し、すでに話した内容を記憶できます。そのため、固定されたスクリプトに縛られることはありません。

ただし、この変化によって会話型AIデザインが不要になったわけではありません。むしろ、求められる水準は上がりました。頼れる厳格なスクリプトがないからこそ、エージェントのペルソナ、ワークフロー、意思決定ポイントを、あらかじめ決められた会話ではなく、自由度の高いリアルタイム会話でも機能するよう十分に定義する必要があります。

このガイドでは、チャットと音声エージェントにおいて会話型AIデザインが実際に何を意味するのか、すでに評価対象となっている指標にとってなぜ重要なのか、そしてより自然に感じられるよう何を最適化すべきかを解説します。正しく設計すれば、顧客とつながり、より速く優れたサービスを提供するAIエージェントを導入できます。

概要

  • 会話型AIデザインとは、会話を自然に感じられるよう、AIエージェントのコミュニケーションを構造化・最適化することです。
  • 音声AIはテキストよりも許容範囲が狭くなります。チャット画面では気づかれない音声、レイテンシー、タイミングの問題も、音声での会話ではロボットのような印象につながるためです。
  • ElevenAgentsは、音声、ペルソナ、会話フローを制御し、あらゆるチャネルでレイテンシーを最適化できる機能を組み合わせることで、人間らしいAI音声・チャットエージェントを実現できるよう設計されています。

会話型AIデザインとは?

会話型AIデザインは、AIエージェントの振る舞いを設定するUXの実践です。ペルソナから、参照するガードレール、ワークフロー、ナレッジベースまで、すべてが連携し、会話をプロダクト体験の他の要素と同じように洗練されたものにします。

ただし、その設定はどこでも同じではありません。エージェントは単一の設定から、チャット、音声、SMSなど複数のチャネルで稼働できます。それぞれに固有の制約がありますが、最も厳しいのは音声です。音声がエージェントのチャネルの一つである場合、声を選んで届け、ペースやターンテイキングをリアルタイムで管理し、間が通話切断のように感じられる前に応答する必要があります。少し遅い、あるいは完璧ではない応答でもやり取りが途切れにくいチャットとは異なり、これらは必須です。

ここでは、チャットエージェントに会話型AIデザインを実装する際に検討すべきことと、音声で追加される要素を紹介します。

Feature
Chat
Voice
Latency
Small delays are unnoticeable, and there is often more time to think as users type their own answers.
Voice agents have almost no room for delay. A pause that's fine in a chat window reads as dead air on a call, and the customer assumes it dropped.
Persona
Comes through in font, color, and word choice.
Persona also has to come through in accent, pacing, and tone, since the customer hears it instead of reading it.
Conversation flow
Messages simply queue up. No turn-taking, interruption handling, or silence detection needed.
The agent has to decide, in real time, when the customer is done talking and when it’s safe to respond.
Language and accent
The agent just needs to detect and match the right language.
The agent also has to get the accent right, since language detection alone won't catch it.

顧客はこれらの要素を一つひとつ意識して評価するわけではありません。ただ、何かがおかしいと感じるだけです。その感覚だけでエージェント全体への信頼が損なわれ、そもそも導入した目的まで危うくなります。

優れたユーザー体験に会話型AIデザインが重要な理由

ターンテイキング、レイテンシー、ペルソナなど、上記のすべての要素は、顧客を支持者にも批判者にも変えうる重要な場面で、ブランドの受け止められ方に影響します。この印象は、チームが評価される指標に直接表れます。

  • 満足度と解決率の向上:エージェントが迅速に応答し、不自然に話を遮らなければ、顧客はやり取りをより高く評価します。
  • 離脱の削減:顧客が会話から離脱する理由は、長い待ち時間だけではありません。通話での不自然な間や、チャットでの硬くブランドらしくない返信など、期待に合わない応答も、会話を終えようという同じ気持ちを引き起こします。
  • 解決までの時間短縮:明確な会話フロー設定と適切に整理されたワークフローにより、行き止まり、同じ質問の繰り返し、「担当者におつなぎします」といった場面を減らせます。
  • 人間のエージェントへのエスカレーション削減:エージェントが自然に会話フローを処理し、定義されたワークフローに従えば、顧客を混乱させて担当者を求められる前に、初回対応で解決できるケースが増えます。

たとえば、eDreams ODIGEOを見てみましょう。世界最大級のオンライン旅行プラットフォームの一つです。同社は5つの主要言語でElevenAgentsのAIエージェントを導入し、低レイテンシーの音声合成と、各通話の開始時におけるより正確な意図認識などにより、解決速度を二桁改善し、通話転送率を二桁削減しました。このような成果は会話デザインだけでなく多くの変数に左右されますが、優れた会話型AIデザインで何が可能になるかを示しています。

ElevenAgentsにおける会話型AIデザインの仕組み

ElevenAgentsでは、エージェントが人間らしく感じられるかを決めるペルソナ、音声、ターンテイキング、引き継ぎ、レイテンシーなどを最適化できます。実際の会話でエージェントが適切に役割を果たせるよう、それぞれを設定・最適化する方法を紹介します。

ペルソナと音声の選択

ペルソナは顧客の第一印象を決めるもので、ミスマッチがあると会話が始まる前から信頼を損ねます。親しみやすい小売ブランドに対して硬すぎるペルソナでは、役立つことを何も言う前から顧客にエージェントを疑わせてしまいます。まずはシステムプロンプトで形作りましょう。ここでは、エージェントの役割、個性、ガードレールを他の何より先に定義します。

音声エージェントでは、そのペルソナを声でも伝える必要があります。金融に関する通話にカジュアルすぎる声を使うと、テキストでのペルソナのミスマッチと同じ印象を与えます。そのため、音声選びも同じ作業の一部です。まずは次の点から始めましょう。

  • 音声の選択:ブランド、対象顧客、テーマに合わせて音声を選びます。アクセント、性別、トーンはいずれも、通話相手との信頼関係を築き、会話の雰囲気を決めるのに役立ちます。
  • 多言語サポート:市場を問わず一つの音声を標準にするのではなく、対応する言語ごとに音声を選びます。一つの音声を複数言語で無理に使うと、少なくともどれかの言語で不自然な外国語らしさが出やすく、築こうとしている信頼を損ねます。

ElevenAgentsでは、ボイスライブラリで11,000以上の音声を利用でき、アクセント、キャラクター、ユースケースで検索できます。そのため、ゼロから始める必要はほとんどありません。合うものがなければ、短いオーディオサンプルから既存の音声をクローンするか、ゼロからデザインするという2つの選択肢があります。希望する年齢、アクセント、トーン、ペースをテキストプロンプトで指定できます。

会話フローの設定

会話が最も厳密な時間感覚で進むのは音声です。間が単なる余白であるチャットとは異なり、通話でリズムが途切れると、すぐに無音や接続切れとして受け取られます。このリズムを適切にすることは、音声エージェントを自然な会話の参加者に感じさせる最大の要素であり、ターンテイキングモデルそのものから始まります。

ElevenLabsのターンテイキングモデルは、話者が単に間を置いたのではなく、実際に話し終えたタイミングを検出するよう設計された、研究に基づくシステムです。固定の待機時間で推測するのではなく、エージェントがいつ応答すべきかを判断できます。

さらに、会話フローを適切に設定するために調整できる項目を紹介します。

  • ターンタイムアウト顧客がまだ考えている間に話し始めたり、話し終えた後に待たせたりしないよう、エージェントが応答前に無音状態で待つ時間です。
  • ソフトタイムアウト「少々お待ちください」や「確認します」など、処理中の間をつなぐためにエージェントが使う短いフィラーです。顧客に通話が切れたと思わせません。実際の応答時間は変動するため、「1秒お待ちください」のように具体的な時間を約束するフィラーは避けましょう。
  • 割り込み顧客がエージェントに重ねて話し始めたとき、エージェントが発話を止めるかどうかです。自然な会話のキャッチボールには有効にしてください。法的免責事項、安全指示、最後まで聞いてもらう必要がある内容など、完全に伝えることが重要な場合は無効にしてください。
  • ターン応答性顧客が話し終えた後、エージェントがどれほど素早く応答するかです。「Eager」は迅速な対応が最重要のカスタマーサービスに適しています。「Patient」は、電話番号やメールアドレスなどの顧客情報を収集する際に最適で、数字の途中で顧客の話を遮りません。「Normal」は一般的な会話に適したデフォルト設定です。

ここでの小さな調整が大きな違いを生みます。タイムアウトをわずかに変えるだけでも、気を配っているように感じるエージェントと、人の話を遮るように感じるエージェントの差になります。

ワークフロー、引き継ぎ設計、スクリプト

ワークフローは、ElevenAgentsで会話型AIデザインの多くを実践に移す場所です。何がいつ起こるかを定義します。意思決定ポイント、エスカレーション経路、引き継ぎなど、本来ならエージェントの即興に委ねられるすべてを定めます。

ワークフローは、エージェントを洗練させるための他の2つのシステムと連携します。システムプロンプトは、挨拶や引き継ぎといった重要な局面で、役割、トーン、発言すること・しないことなど、エージェントの基本的な振る舞いを定義します。プロシージャは、顧客の本人確認や返品手続きの案内のような、単一で明確に定義されたタスクに対する、より規定的な選択肢です。顧客の発言に応じて分岐するのではなく、会話の展開にかかわらず、開始から終了まで固定された手順を段階的に実行します。

エージェント構築を始める最も簡単な方法は、事前構築済みエージェントテンプレートを使うことです。ワークフローとシステムプロンプトの両方の出発点が用意されているため、ゼロから構築する代わりに微調整できます。独自のものにするために、まず次の変更から始められます。

  • 意思決定マッピング:開始から解決まで会話全体が定義されるよう、各意思決定ポイントでエージェントが何をするかを正確に整理します。サブエージェントノードを使うと、フロー内の特定のポイントでシステムプロンプト、モデル、さらには音声も調整できます。これにより、通話の序盤にあるカジュアルな雑談よりも、センシティブな本人確認ステップを厳格なガードレールのもとで実行できます。
  • エスカレーショントリガー:その場でエージェントに判断させるのではなく、人間に引き継ぐための明確なトリガーをワークフローに組み込みます。たとえば、2回試しても問題が解決しない場合、顧客が責任者を求めた場合、取引がセンシティブまたは高額で人による対応が必要な場合にエスカレーションします。
  • 引き継ぎコンテキスト:システムプロンプトで、注文IDやアカウント番号など、転送前にエージェントが収集すべき情報と、引き継ぎのトリガーとなる条件を定義します。その後、保存した詳細情報を転送ツールの設定にマッピングすると、顧客が人間の担当者に同じことを繰り返さなくても、自動的に引き継がれます。
  • スクリプト化した表現:重要な場面で使う正確な文言をシステムプロンプトで定義します。最初の挨拶、エラーメッセージ、法的免責事項、エスカレーション時の引き継ぎを、エージェントの即興に任せるべきではありません。「現在、その情報にアクセスできません」のような正確な文言は、問題が起きたときの表現をエージェントに推測させるよりも信頼できます。

ワークフロー自体はElevenAgentsで視覚的なグラフとして構築され、各意思決定ポイントとエスカレーショントリガーは、直接確認・編集できるノードとしてマッピングされます。

Conversational AI design. Workflow interface for managing agent transfers and meetings in ElevenLabs platform.

運用開始後は、分析データによって実際の会話データが同じグラフ上に重ねて表示されます。顧客がどこで行き詰まったり離脱したりしているかを正確に把握し、推測せずに修正できます。

レイテンシーとパフォーマンス

レイテンシーは、やり取りが人間らしく感じられるかを左右する最大の要素の一つです。会話の他の部分がうまく進んでいても、応答が遅いだけで、顧客に機械と話していることを強く意識させてしまいます。

エージェントがチャットと音声のどちらで動作するかにかかわらず、パイプラインの各部分がそれぞれレイテンシーを加えます。どちらにも当てはまるものもあれば、音声を使用する場合にのみ当てはまるものもあります。

  • LLM:モデルの選択はすべて、コスト、推論品質、速度のトレードオフであり、適切なバランスは会話によって異なります。FAQや予約確認のようなシンプルで頻度の高い対応なら、体験を損なわずに、より高速で軽量なモデルを使えます。財務アドバイスや複数ステップのトラブルシューティングのような複雑なタスクでは、少し応答が遅くなっても、より優れた推論モデルに投資する価値が通常あります。
  • ナレッジベースとRAG:ナレッジベースの検索はすべて、エージェントが応答する前に往復処理を追加します。そのため、幅広く検索しなければならないナレッジベースよりも、無駄がなく焦点を絞ったナレッジベースの方が速く応答します。
  • インテグレーションとツール呼び出し:Salesforceで注文を検索したり、カレンダーで空き状況を確認したりする外部ツールの呼び出しは、すべて独自の往復処理を追加します。どのツールを呼び出すべきかエージェントが迷わないよう、ツールの説明を明確に記述し、会話で実際に必要なツールだけを呼び出してください。
  • 地域とデータホスティング:ElevenAgentsのリージョンをデータのホスティング先に合わせ、電話ベースの導入では、テレフォニープロバイダー(Twilio、SIPなど)のリージョンにも合わせてください。エージェントのリージョンと通話ゲートウェイのリージョンが地球の反対側にある場合、会話が始まる前からその距離がレイテンシーを加えます。
  • スピーチtoテキスト(音声のみ):Scribeは、エージェントが内容を推論する前に顧客の発言を文字起こしします。速度より精度を重視して設計されたバッチ版ではなく、ライブ会話にはリアルタイム版(Scribe v2 Realtime)を使用してください。
  • ターンテイキング(音声のみ):エージェントがそもそもいつ応答すると判断するかを決めるもので、詳しくは上で説明しました。ターンの終了を検出するまでモデルがためらうと、パイプラインの残りが始まる前に遅延が加わるため、これ自体がレイテンシー要因であることを覚えておく価値があります。
  • テキスト読み上げと音声の選択(音声のみ):デフォルト音声、合成音声、Instant Voice Clonesは、Professional Voice Clonesよりも速く応答します。レイテンシーとのトレードオフに見合う追加の忠実度が必要な場合にのみ、Professional Voice Clonesを使用してください。

レイテンシーについて詳しくは、レイテンシー最適化のベストプラクティスと、パイプライン全体でレイテンシーを測定・報告する方法をご覧ください。

ElevenAgentsで最初のエージェントを設計する

ここで取り上げた要素は、AIエージェントにおける会話型AIデザインの実践そのものです。すべてElevenAgentsに標準搭載され、ノーコードコンソールから設定できるため、質問に正しく答えるだけでなく、本物の会話ができるエージェントを構築できます。

実践的な支援を求めるチームには、ElevenLabsのForward Deployed Engineersがチームと直接連携し、本番対応のエージェントの要件定義、構築、立ち上げを行い、運用開始後もパフォーマンスの微調整を支援します。

自分で構築する場合でも、サポートを受ける場合でも、違いを確認する最も速い方法は試してみることです。今すぐエージェントを作成するか、営業チームに相談することで始めましょう。

会話型AIデザインFAQ

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