システムプロンプトとは?AI会話で重要な理由
- 公開日
- 最終更新日
システムプロンプトとは、AIモデルがすべての会話で従う明確な指示のセットです。モデルの振る舞い、使用するトーン、知識の境界、呼び出すツール、システムを管理するガードレールを定義します。デベロッパーは、顧客とのやり取りでAIモデルが一貫して動作するよう、システムプロンプトを使用します。
このガイドでは、システムプロンプトとは何か、どのように機能するのかを解説します。実際のシステムプロンプトの例と、自分で作成する際に役立つベストプラクティスも紹介します。
概要
- システムプロンプトは、すべてのやり取りにおけるAIの役割、トーン、境界を定義します。
- システムプロンプトはユーザープロンプトより上位にあり、会話の振る舞いを制御します。
- 主要なAIプラットフォームはすべてシステムプロンプトを適用しています。
- 優れたシステムプロンプトでは、明確なセクション、ガードレール、ツールの指示を用います。
- システムプロンプトはシステムの進化に合わせて変化し、デベロッパーは顧客との会話を確認しながら改善します。
システムプロンプトとは?
システムプロンプトは、ユーザーがメッセージを入力する前に実行される指示レイヤーです。通常はデベロッパーやプロダクトチームがモデルを導くために作成し、多くのチャットインターフェースやAPIでは、モデルとのやり取りでユーザーが入力する内容より優先度の高いコンテキストとして扱われます。
システムプロンプトは、モデルに関するいくつかの重要な要素を定義します。
- 役割: ユースケースにおいて、モデルが誰を模倣し、どのような役割を果たすべきかを正確に定めます。たとえば、「あなたは自動車会社の、親しみやすく効率的なカスタマーサクセスエージェントです。」
- 環境: AIエージェントが支援する一般的なやり取りのより広い文脈と、最適な支援方法を定義します。たとえば、「あなたはカスタマーサクセスの電話中に顧客を支援しています。顧客からは、問い合わせから注文情報まで、さまざまな問題について電話がかかる可能性があります。顧客のアカウント履歴、注文履歴、商品詳細、社内カタログにアクセスできます。」
- トーン:エージェントがユーザーにどのように応答し、どのような言葉を使うかを定めるガイドラインです。たとえば、「応答は親しみやすく簡潔にし、自然な話し方を用いて、[warmly]「承知しました」のような短い相づちを時折入れてもかまいません。」
- 目標:エージェントが会話を効果的に完了させるために持つ目標です。システムプロンプトのこの部分は、多くの場合より大きく、複数の目標に関する細かなニュアンスを扱います。たとえばこのセクションは、「主な目標は、以下の構造化されたプロセスを通じて、顧客に良い体験を提供しながら、問題や問い合わせを効率的に解決することです[…]」のように始められます。
- ガードレール:避けるべき話題、AIが共有すべきでない情報、リクエストが担当範囲外の場合にエージェントが取るべき対応、指示を操作または上書きしようとする試みへの対応を定めます。簡単な例としては、「会話をまたいで機密性の高い顧客データを共有してはいけません。アカウント情報にアクセスする前に、必ず顧客の本人確認を行ってください。」があります。システムプロンプトそのものに加え、ElevenAgents Guardrails 2.0は、3つのレベルで会話を保護し、企業が一般的なリスク領域に備える堅牢なガバナンス対策を構築できるようにします。
- プロセスと形式:必ずしも独立したセクションではなく、環境の中に含まれる場合もありますが、応答をどのように構成するか、いつ確認質問をするか、AIエージェントが使用できるツール、接続できるデータソースを明記する必要があります。
企業は上記の情報を1つの大きなテキストブロックにまとめることもできますが、エージェントによっては情報の優先順位を付けたり、明確に構造化された見出しに特に注意を払ったりします。Markdown形式でセクションを区切ると、明確になり、あるセクションのコンテキストが別のセクションに影響する指示の混在を防げます。
システムプロンプトは、AIエージェントの設計図だと考えてください。役割、目標、使用可能なツール、タスクの段階的な手順、そしてエージェントが決して行ってはならないことのガードレールを定義します。

システムプロンプトとユーザープロンプトの違いは?
システムプロンプトは会話の最上位に位置し、あらゆるやり取りにおけるAIエージェントの基本的な振る舞いを定めます。ユーザープロンプトは、顧客がエージェントに応答してもらう内容を入力するものです。ユーザーが達成したいことによって変わり、完全にコンテキストに依存します。カスタマーサービスエージェントでは、ユーザープロンプトでチャットボットに注文の詳細を取得するよう求める場合があります。画像生成ツールでは、特定のアセットの作成を依頼する場合があります。
システムプロンプトとユーザープロンプトの違いを、より詳しくまとめた表を以下に示します。
もう1つの違いは、システムプロンプトはエージェントの振る舞いや応答方法を制御する一方で、ターンテイキングやエージェントが話せる言語といったインフラの仕組みは定義しないことです。
AIモデルでシステムプロンプトが機能する仕組み
主要なAIシステムでは、それぞれ少し異なる方法でシステムプロンプトを実装していますが、通常は同じプロセスに影響を与えます。システムプロンプトはユーザーの最初のメッセージより前、会話の開始時に配置され、モデルが行動・応答する際に用いる全体的なコンテキストを定義します。
- ChatGPTのシステムプロンプト: ユーザーは「カスタム指示」タブからChatGPTモデルにシステムプロンプトを追加できます(「設定」→「パーソナライズ」→「カスタム指示」)。OpenAI APIを使用するデベロッパーは、メッセージでプロンプトを直接設定できます。
- Claudeのシステムプロンプト: システムプロンプトはAnthropicが設定し、ウェブアプリとモバイルアプリ全体に適用されます。ユーザーはClaude Projectsを使用してカスタム指示を追加することで、カスタムシステムプロンプトを再現できます。APIリクエストでは、デベロッパーがシステムパラメータを指定してモデルの振る舞いを制御できます。
- 他のプラットフォームでのカスタムシステムプロンプト: 一般的に、システムプロンプトはエージェントの設定パネルで一度設定します。設定や構成の中で定義することで、WhatsApp、ウェブアプリ、電話、SMSのどれであっても、エージェントはすべての会話にそのコンテキストを適用できます。
具体的な設定方法はプラットフォームごとに異なりますが、システムプロンプトを変更してモデルの応答方法を変えるという動作は同じです。
AIモデルを活用して構築するエンタープライズのお客様は、候補となる2~3種類のモデルでシステムプロンプトを必ずテストしてください。レイテンシー、精度、ツール呼び出しの成功率といったモデルのパフォーマンスは、プロンプトの構造やタスクの複雑さによって変わることがあります。ElevenAgentsで利用可能なすべてのモデルをご覧ください。
システムプロンプトの書き方:ベストプラクティスとヒント
システムプロンプトは、明確な仕様書として読めるべきです。独自のAIシステムプロンプトを作成する際は、以下のベストプラクティスに従い、エージェントが守るための堅牢で詳細なガイドを作成してください。

明確な役割と目標から始める
システムプロンプトに含める言葉は重要であり、何も偶然に任せることはできません。エージェントに単に「適切に振る舞う」と伝えても、「適切」の意味はコンテキストによって異なるため明確ではありません。代わりに、必ず明確な役割と具体的な目標から始めてください。エージェントが誰で、何を達成すべきかを具体的に示すほど、モデルが推測で不足部分を埋める余地は少なくなります。
プロンプトを明確なセクションに分ける
密度の高い段落では、どこで1つのセクションが終わり、次のセクションが始まるのかを示す明確な目印がありません。また、特定の指示がどの程度重要かという優先順位もわかりません。見出し付きのセクションでテキストを分け、より論理的な構成をモデルに示してください。
システムプロンプトをセクションに分けると、将来的にセクションを追加・書き換えしやすくなるため、エンジニアやデベロッパーにとっても役立ちます。
譲れないルールには専用セクションを設ける
エージェントが絶対に破ってはならない明確なルールについては、優先度を明示した専用セクションを作成してください。譲れないルールを他のセクションに混在させると、その効果が弱まり、問題につながる可能性があります。たとえば、トーンのセクションに「顧客データを決して共有しない」と記載しても、モデルには明確に伝わらないかもしれません。
解釈の余地を一切残さないことが最善です。内容を明確に記述し、譲れないルールは独立したセクションで明確に定義してください。
AIがしてはいけないことを定義する
AIモデルが、対応方法がわからないエッジケースに遭遇した場合に何をすべきかを明確に述べてください。答えがわからないときや担当範囲外のリクエストに遭遇したときにモデルが取る行動をあらかじめ定めることで、エッジケースにおける無責任なAIの振る舞いを避けられます。
呼び出すツールと使用方法を明確にする
エージェント、特に顧客対応を行うエージェントは、呼び出せるさまざまなツールや機能を持つ可能性があります。その場合は、これらのツールをいつ、どのように使用するか、呼び出しに失敗した場合はどうするかを必ず明記してください。エージェントが取るべき正確なアクションと、ツールが予期しない応答を返した場合の対応を、具体的に記述します。
重要度に見合った長さにする
シンプルなデモ用エージェントであれば、システムプロンプトは数行で済むことがあります。機能が比較的単純なので、エッジケースや多数のツール呼び出しシステムを説明する何ページものドキュメントは必要ありません。より複雑なエージェントには、役割やエスカレーション経路を正確に網羅するため、より長いシステムプロンプトが必要です。
システムプロンプトの書式に関するベストプラクティスに従う
可能な限り、システムプロンプトには以下の書式に関するベストプラクティスを使用してください。
- Markdown見出しを使用する: 各セクションには見出しを付け、あるセクションに関連する指示がどこで終わり、新しいセクションがどこで始まるのかをモデルが理解できるようにします。
- 一貫性を保つ: 文頭のみを大文字にするsentence caseを一貫して使用するなど、ページ全体で同じ書式構造を適用します。
- 箇条書きを使用する: 複数の要素から成る指示は、明確にするため段階的なリストまたは箇条書きに分けます。
継続的に更新するドキュメントとして扱う
システムプロンプトは時間とともに進化します。実際の会話ログと照らし合わせて、顧客のニーズを効果的に満たせているかを確認し、エージェントが十分に対応できていない部分に基づいて改善してください。
ElevenAgentsのシステムプロンプト例
以下に、ElevenAgentsで効果的なシステムプロンプトの例を3つ紹介します。これらはベストプラクティスに従い、情報を簡潔に提示し、重要なステップを強調し、専用のガードレールセクションを含んでいます。
これらのシステムプロンプト例は、技術サポートエージェント、カスタマーサービスの返金エージェント、予約スケジューリングエージェントという3つのユースケースを対象としています。
技術サポートエージェントのシステムプロンプト例
カスタマーサービス返金エージェントのシステムプロンプト例
予約スケジューリングのシステムプロンプト例
ElevenAgentsを始める
優れたシステムプロンプトを作成すると、AIモデルは期待どおりに特定の役割を果たすために必要な指示を得られます。自社にとっての「優れた」状態は時間とともに変化し、顧客の会話記録を確認したり、エッジケースを調査したりすることで、システムプロンプトへの追加や修正が生まれます。
ElevenAgentsでは、音声、言語、ナレッジベースの設定と並んで、専用のシステムプロンプト設定をチームに提供します。組み込みのシミュレーションにより、顧客に届く前にエージェントが実際のシナリオへどう応答するかをテストでき、ガードレールによって応答を自社ポリシーに沿ったものに保てます。
ElevenAgentsの詳細をご覧いただくか、営業担当にお問い合わせのうえ、今すぐエンタープライズ導入を始めましょう。
システムプロンプトに関するよくある質問
Jack LimebearはGrowthチームに所属し、ブログやインサイトページのコンテンツライター兼ストラテジストとして活躍しています。ElevenLabsに入社する前は、急成長中のSaaSスタートアップからFortune 500企業まで、さまざまな組織で10年以上にわたりコンテンツ戦略をリードしてきました。ケンブリッジ大学で英文学の修士号を取得しています。




